『YOKOHAMA Short Stories』衣裳担当のうちのひとりである、スーツ制作を担当してくださった、佐野雄一店長にインタビューを行いました。
本公演では、クリフサイドこ支配人役とホテルマン役二名ためのスーツ、計三着のスーツを制作していただきました。
1. お店の特徴をお聞かせ下さい
ディフィカルトなイージーオーダーをポリシーとしたお店です。
当店のオーダー形式は、イージーオーダーです。
ですがイージーだからと言って言葉通りの”簡単”では無いと考えています。
形の無いモノを創り上げる。オーダースーツの醍醐味は着る人それぞれの想いを形にできること。
だからこそ、オーダースーツは『ディフィカルト』であると私たちは考えています。
それぞれの想いや理想を形にすること、それは決して簡単なことではないからです。
世界に1着しか無い『あなただけのスーツ』を創り上げる為に、お客様との対話を一番大切に、1人1人のお客様に寄り添った接客サービスを心掛けています。
お客様を最高の笑顔にする世界にたった1着しかないスーツをお仕立てすることをモットーに、お客様スタッフが肩を組合いスーツ作りを楽しめるお店です。
2. オーダースーツとは、市販のスーツとどう違いますか?
市販のスーツ(既製服)は、サイズ感が合う自分好みのスーツがあればいいのですが、無い場合はあきらめる、または我慢して着なければならないです。
一方オーダーは生地から選び、自分好みのサイジングでスーツを着られることに加え、ボタンや裏地等を好きなものから選びデザインできるところが大きく違います。
3. オーダースーツを作るに当たって心がけていることは?
お客様との会話(対話)です。
お客様がどんなスーツを本当に求めているのかお話を聞くこと
そして聞き出すことを1番大切にしています。
4. オーダースーツならではの苦労などあればお聞かせ下さい。
ディフィカルトなイージーオーダーを。
とお話をさせていただいた通り、お客様にとって最高の1着を作り上げるのは、毎回苦労という言葉ではないかもしれませんが、どれだけキャリアを重ねても難しいですし、怖さもあります。
1着1着が真剣勝負ですから。
5. 佐野店長がオーダースーツに魅入られた点は?
既製服とは違い『世界に1着しかない』スーツが作れるところです。
自分のためだけにあるスーツが出来上がると本当に嬉しいものです。
6. 今までの仕事の中で印象的なエピソードがあればお聞かせ下さい。
エピソードではないかもしれませんが、この仕事を初めて間もない頃から今に至るまで、着任する店舗が変わっても変わらずお店に通い続けてくれるお客様がいることです。
もう10年来のお付き合いになりますが、いつも楽しいひとときを共有できる間柄になれたお客様がいらっしゃることは誇りです。
ただ単にお客様と店員とは違う関係性が築ける事ができるのはこの仕事の素晴らしいところかなと感じています。
7. ご自身の普段着ているスーツについて、こだわりがあれば、お聞かせ下さい。
スーツをスーツっぽく着ないことです。
ルールに縛られず自分の着たいようにスーツを着ること。
フォーマルな着方ではなく、一種の洋服としてスーツをいつも捉えています。
特別な洋服ではなく、ジーンズやTシャツを普段着る感覚でスーツを着ることです。
8. ウキヨホテルプロジェクトがお願いするスーツについて、他のスーツと違う点は?
今現在のスーツスタイルとはすべてにおいて全く違います。
以前担当させていただいた30’sスタイル や、今回のダンスホールクリフサイドの支配人のスーツなど、時代背景やそのキャラクターに沿ったスーツになりますので、一般の方が仕立てるようなスーツではないですね。
例えば、
30’sスタイルですと、胸のボリュームを強調するようウエストが極端に絞り込まれたグラマラスでエレガントなスタイルに、パンツはハイウエストでシルエットはかなりの太目など、現代のどちらかといえばスマートでコンパクトなスーツスタイルとは一線を画しています。
生地についても、時代背景に沿ったものを選んでいるので、普通のビジネススーツでは選ばない生地となっているのも特徴ですね。
今回のクリフサイド支配人のスーツも華やかな生地を選び、かなり個性的なシルエットに仕上げましたのでご期待ください。
9.今回のスーツで、特に苦心した点はありますか?
時代背景はもちろんのこと、ダンスホールの支配人という少し特殊な設定でしたし舞台映えや写真映えを非常にとっても意識しなければならなかったので、生地選びから頭を悩ませましたね。
ホテルマンの衣装も、当時の参考画像を探したのですが中々参考になるような画像等を発見することができずでしたので、マッカーサー元帥というキーワードから生地のイメージやスタイルを想像しなければいけなかった点に少し苦戦したかなという感じです。
ですが、悩んでいる時間がまた楽しいので、苦心した点は無いといえるくらい生地選びから採寸、シルエット作りまで非常に楽しませていただきました。
10. 最後に一言いただけますか?
お仕立ていただいたスーツを俳優さんが纏い、新たな命が洋服に吹き込まれると言いますか、スーツや洋服は着る人があってこそ活き、最終的に完成すると思います。
役者さんと一緒にスーツがこの舞台でどう躍動するのか皆さん以上に非常に楽しみです。
貴重な体験をさせていただきありがとうございます。
佐野雄一
生年月日 昭和57年4月生まれ
愛知県出身。
経歴
H20. 有限会社CLAMP入社
H22. 株式会社ユニクロ入社
H24. 株式会社BIG VISON入社Esola池袋店立ち上げを経てヨシムラへ
H24.5月からYOSHIMURA&SONS 3代目SHOPMASTERに